にんげん

 

人の心がわかったら人の考えがわかったら

どれだけ人間関係が楽なんだろうと

何度も何度も想像した

 

自分の生きている意味がわかったら

これまで起こった出来事とこれから起こる事象の

意味がわかればどれだけ円滑に物事を

進められることができただろうと

何度も何度も考えた

 

嘘だらけだと目に見える世界に生きれたら

どれだけ楽だろうと思ったことか

どれだけ苦しくてもぼくなら上手く使いこなしてみせると何度も思いを巡らせた

 

そんな目を持っていなくても

世界は嘘に溢れてるって気づいているのに

やっぱり見えないことだから

期待してしまっているぼくがいて

やっぱり傷ついたことが何度もあった

 

ひとにやさしく

 

できたらいいけど

ほんとにほんとにできないの

 

じぶんにきびしく

それもほんとにできなくなった

 

人の考えやその人の欲しい言葉がわかれば

何でもあげられるし

何でもほしいものは手に入れられるけど

やっぱりそれはそれでたのしくないんだよって

しんどいんだよって

おもしろいのは初めだけ

つまらなく飽きるようになるよ

そういえば誰かが言ってたなあ

人間は面白いからまだやめたくないな

って。どういう意味かさっぱりやったけど

そういうことやったんかな、と。

 

その人は人が考えてることとか

その人の頭の上に文字で出てきて見えるっていってた

人それぞれ字体も違っておもしろいって

見えない人もいるけど大概見えるって

他にも色々見えたりする人だった

 

ぼくから見える字はめちゃくちゃ汚くて

一瞬読めるけどすぐぐちゃぐちゃにかき消されて

読めなくなるんだって言ってた

メモとか手紙渡した時

こんな字書くの

って驚かれた

 

すごくすごくうらやましかった

ぼくのほしいもの全部持ってて

尊敬しかなかった

ぼくもほしかったその能力その目

そのひとがほしくなった

 

ぼくが欲しい言葉たくさんくれてたの

みえてたからなのか

本音か建前か

途中からくれなくなったのは

人間になりたかったからなんだね

全くわからなくてごめんね

やっぱり君は全知全能の神じゃなかった

 

やっぱり人のこと考えるのってむつかしい

想像して思いを巡らせるのってしんどい

わからないのにわかったふりするのも

わからないのにわからないっていうのも

ぜんぶぜんぶむつかしいしんどい

 

ぼくの人生のテーマは

ひとにやさしく

なんだって今更気づいた

 

先延ばし先延ばし

何年も何年も先延ばし

やさしくするのってむつかしい