雨天順延

 

彼女はしばしば嘘をつく

 

大丈夫?

と聞いたら大丈夫じゃなくても

大丈夫!

という

 

好きなもの食べてもいいよ

と言っても本当は食べたいものがあっても

貴方の好きなものが好きだから

という

 

本当は話さなければならないことが山積みなのに

ごめんね

と言って話す機会を損失させる

 

一緒に暮らしたいね

ずっと一緒にいたいな

と彼女はいうけれど

一緒に暮らすなら絶対的に1人になれる空間が欲しいという

 

何が彼女をそうさせたのだろう

自分自身を抑圧する彼女はしばしば

感情が溢れて大爆発する

何度も別れようと言われた

しんどいから、苦しいから別れようと

 

でも一緒にいたいから

もっと彼女を知りたいから

お互い話し合って理解を深めて寄り添いたいから

別れない選択をした

別れない選択をしてもらった

 

彼女は結婚はしてもいいが苗字を変える気はなく

また子供も育てられる自信がないからいらないという

 

しかし彼女は産まれる予定のない子供の名前を

考えたりする

この漢字を使いたいとか

この名前は響きが苗字と合わないとか

男の子がいいとか女の子がいいとか

2人の間に生まれる子ならどっちでもいいよねとか

2人の子供は絶対可愛いよねと嬉しそうに話す

しかし彼女は子供は望んでいないのだ

 

彼女はしばしば嘘をつく

 

0.01ミリの壁を越えられずにいる

その壁を突破できたら彼女は変われるのだろうか

もっと素直に感情を剥き出してくれるのだろうか

しばしば嘘をつくことがなくなるのだろうか

 

一緒にいられるのが幸せだし

ずっと一緒にいられるし

2人でなら例え不幸になっても乗り越えられる気がするし

そんな自信があるけど

彼女はどうなんだろう

 

実体はあるのに実態が掴めない

くらげのような

霞を掴むような感覚に襲われるのだ